新潮社の文芸誌『波』に連載されているシリーズの第6作。
三河に始まって遠江→駿河→伊豆ときて今回は
前回に引き続いての駿河東部と伊豆、そして相模の城跡を訪れている。
城跡にまつわる歴史上の人物としては、北条早雲(伊勢盛時)に始まる後北条氏5代および、敵対した足利茶々丸、山内上杉氏、扇谷上杉氏、大森氏、三浦氏などで、中世の関東における複雑な政治情勢が書かれている。
タイトルにある北条水軍については、戦国時代前半は安房の里見水軍と戦っていたために拠点を三浦半島東岸の浦賀城置いていたが、後半は駿河を征服した武田氏の武田水軍への備えとして伊豆半島西岸の長浜城へ拠点を移した経緯が語られており、通常歴史小説ではあまり出てこないところなので興味深い。
他にも早雲が大森氏を追い払って入城した小田原城や、早雲の晩年まで後北条氏と戦い続けた三浦氏の新井城、後北条氏と今川氏、武田氏が争奪戦を繰り広げた駿河東部の葛山城や長久保城など20あまりの城が扱われている。
小田原城のように比較的原形をとどめているものから、地形まで変わっていて石碑でしかたどれないところまでさまざまであり、著者一行はシリーズに慣れてきたこともあってそれぞれの思いを持ってそれらを訪れる様子が描かれている。
今回で東海道を東に進むのは一段落し、次回からは尾張の城跡を訪れる予定であることが終盤で書かれており、こちらも楽しみである。
また、著者が北条早雲が好きなことを書いており、いずれ北条早雲を描いた歴史小説を書いて欲しいと思う。
[戦国時代終盤の後北条氏を扱っている作品]
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